牛舎換気システム

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牛舎をより快適な空間へ~牛舎換気システム~

夏場の高温やハエ被害に悩む酪農家の声から生まれたのが、セイカンの牛舎換気システム。既製品にない大型ファンを求めて羽根の調達から枠づくりまで独自に設計し、改良を重ねながら耐久性と風量を追求。市場を切り拓いた元祖として多くの酪農家に支持されてきました。現場の声を起点に試作・改善を繰り返す姿勢こそ、セイカンのものづくりを象徴しています。

テキスト:外山暁子

Index

    事業名

    牛舎換気システム

    事業内容

    夏の暑さや害虫対策は酪農現場にとって深刻な議題であり、牛舎内の環境改善は生産性を左右する重要な要素のひとつです。セイカンは、こうした生産現場の悩みに応えるかたちで、牛舎向け換気システムの開発に取り組みました。置き型式から始まり、牛たち一頭一頭に風を送るダクトファン方式、壁に穴を開けるタイプなど、改良を重ねながら牛舎内の熱気や湿気を効率的に排出する仕組みを構築。高い耐久性と風量を備えた換気設備は、快適性と生産性の両立に大きく貢献しました。

    事業の経緯

    農家からの「夏場の牛舎が暑く、ハエも多くて困っている」という切実な声が届けられていました。広い牛舎ですから大型サイズの換気ファンが必要ですが、既製品ではそのようなサイズのものはありませんでした。営業担当の高橋文男は、現場を回るなかで、こうした要望を受け、塚田英樹に相談。承認を得て、独自の換気ファンづくりが始まりました。
    最初に作ったのは、据え置き型の大型換気扇。既存のものでは牛舎に対応できるサイズがなかったことから、国内メーカーから羽根だけを仕入れ、枠やカバー、配線をすべて社内で製作しました。当初造作したものから、さらに安全性を考慮し、前後に安全ガードを付けたり、キャスターで固定できるようにするなど、試作を重ねていきます。

    ファン自体(手前)に、網やキャスターを付けた(写真左奥)置き型のファン。これを通路に1,2台置いて稼働させることで換気させていました。

    当時30~40頭の牛舎に1,2台の換気扇を置いていましたが、やはり均一性に欠けるということでさらに考案したのは、壁側に穴を開けて外から風を入れる換気システム。50cm径のビニールダクトに小さな穴を開けて牛の背中~首へ個体送風する方式でした。当時はスタンチョンという、牛の首が固定されている牛舎スタイルが一般的だったので、効率の良い方法に思われましたが、牛の数が増える、牛舎が大きくなるなどの対応は難しく、さらにより良いものにしようと改善を重ねます。

    1階に取り付けられない場合は2階部分を活用して壁をくり抜きファンを取り付けていました。

    この頃、足寄地区の農業改良普及所の職員と現場で出会ったことで、換気システムの風の流れなどのデータ収集を協力してもらえることになりました。
    ダクトファンよりもさらに大きな1m程度の穴を壁に開け、反対側のドアを30cm程度開けることで全体的に風の流れを起こす強制換気の仕組みを応用したものを採用。
    さらに風を強くしたい場合は、間の窓を開閉して調整することで、端から端まで同じような温度を保てることが証明されたのです。
    こうして作られたものは大きな反響を呼び、確かなデータや安全性などが実証され、販売数が見込まれることから正式に製品化へ。日立製の換気扇を活用し、帯広の鉄工所と協力して枠を製作。改良とライン拡大を進めました。換気扇は特許対象外で、その後は多くのメーカーが同じような商品を出してきたのですが、最初に市場を切り拓いた元祖としての存在感を確立し、多くの酪農家で採用される商品へと成長していきました。

    セイカンらしさ

    この事業には、セイカンの「現場起点のものづくり」が明確に表れています。高橋文男は「営業は物を売って終わりではなく、それがどんな結果だったか。本当に必要とされているものはなんなのか、などの情報を汲み取ることが大切」と話します。営業が農家を訪問して情報を集め、必要性を感じたら即座に内部で共有し、会長判断のもと試作へ進む。何度も試作を重ね、現場での実証実験も充分に行ったのちに、本格的な製造・販売へ。一度作ったものに満足せず、常に細かな検証を積み重ねて改良を続ける姿勢こそが、セイカンの信頼を支える重要な要素となっています。

    このエピソードのDNA

    • 現場視点からのものづくり
    • 細かな検証を積み重ねて常により良いものを求めるものづくりの精神
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