大型農業機械用給油装置「はやぶさQ」開発
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「はやぶさQ」――現場起点で生まれた次世代給油装置の開発物語
大型化するトラクターと人手不足が進む中、従来の落差式では給油しづらくなってきたという現場の声に応え誕生したのが、給油装置「はやぶさQ」。会長の迅速な情報収集と従業員の技術力を結集し、電動ポンプ・自動停止・太径ホースなど独自改良を加えて生産者の負担を大幅に軽減しました。
テキスト:外山暁子
事業名
はやぶさQ開発
事業内容
農業現場で欠かせない燃料補給。その効率と安全性を高めるため、セイカンは早くから独自の給油装置の開発・提供に取り組んできました。「落差式」の給油ポンプでは、年々大型化するトラクターへの給油が難しくなるという課題が顕在化。そこで同社は、電動式ポンプによるスピーディーで自動停止機能を備えた給油装置を開発し、生産者の労力軽減と安全向上を実現しました。
事業の経緯
平成5年、トラクターやタンクの大型化が進み、その分給油口がどんどん高い位置になり、従来の落差式では時間がかかったり、給油ができないという場面が増え始めました。当時は平均耕作面積が20ヘクタールほど。農家戸数は減っていくのと比例して耕作面積は増え、作業の効率化や人手不足の解消は緊急の課題でした。そんな声を受け、塚田英樹はいち早く情報収集を行い、社内に「こういうものが必要だ」とアイデアを投げかけました。技術的な設計・製作を担ったのは高橋文男を始めとする従業員たち。基となったのは工進社製のオイルポンプ。それを農業用として使えるよう改良することから始まりました。
初代は「オートストップガン ハイスピード給油ポンプ」という名前で販売。太径ホースや自動停止構造などを組み込み、生産者が“ポンプを入れて待つだけ”で給油できる仕組みを実現しました。

初代は防爆対応がなされておらず、これに防爆カバーを付けたものが「はやぶさQ」と名付けられ商品化されます。当初のものも圧力スイッチが付いて、油がいっぱいになると自動的に止まるというものでしたが、これは消防で認められておらず、その後防爆+オートストップ機能(離れて給油できないように自動的に電源がオフになる機能)がつき、現在にもつながっています。

軽油は季節で粘度が変わるため、既存であった15mm径の穴では出づらいため、18mm、25mmと拡大しました。
開発中は、誤操作により油が漏れて機械が壊れて修理が必要になるなど、その後の対応に追われることもあったそうです。そのため、事故防止に関する取扱説明文書を整備して、導入の際に説明するなど、徐々に体系化したことで修理対応なども減ってきました。
開発はもちろん、安全性などの面でも問題がないかどうか、その後のメンテナンスやアフターフォローなども視野に入れ、現場で起きた課題一つひとつにその都度向き合いながら改良が重ねられた「はやぶさQ」は、現在でも多くの農業現場で使用されています。
セイカンらしさ
この給油装置の誕生には、会長の鋭い情報収集力と、現場の声を逃がさない姿勢がありました。数多く開発された商品はすべて、「生産者の困りごとは必ず解決する」という一貫した信念のもとに誕生したものです。さらに、事故対応や機械修理まで粘り強く寄り添い、必要と判断すれば正しい使い方を伝える文書化にも踏み切りました。商品を売って終わりではなく、導入後の現場で起こる問題まで責任をもって向き合う。その姿勢こそ、セイカンが長く信頼を得てきた理由のひとつです。

このエピソードのDNA
- 生産者の課題を素早くつかみ、技術者の実行力で形にする
- 現場で起きる不具合は逃げずに改善し、必要なら使い方のルールまで整える