馬鈴薯輸送用メッシュコンテナ開発

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馬鈴薯物流を変えた――メッシュコンテナ開発の挑戦と革新

士幌農協からの相談を機に始まったメッシュコンテナ開発は、修理費と作業負担を解消するための挑戦でした。軽量化・省力化・高耐久を同時に実現するため、素材研究や構造改良、輸送試験を重ね、納品後も全数回収して改良する徹底姿勢を貫きます。その結果、加工馬鈴薯の輸送現場で“定番”となり、馬鈴薯物流の効率化と信頼性向上に大きく貢献するセイカンの代表的事例となりました。

テキスト:外山暁子

Index

    事業名

    馬鈴薯輸送用メッシュコンテナ開発

    事業内容

    セイカンが手がける農産物流資材の中でも、馬鈴薯コンテナの開発は同社を象徴する取り組みのひとつです。北海道における馬鈴薯の生産現場では、貯蔵・洗浄・選別・輸送のすべてが大量かつ高頻度で行われ、安定供給には効率化と省力化が不可欠でした。とりわけ、作業負担を減らしながら輸送量を最大化できるコンテナの存在は、生産者と実需者の双方にとって極めて重要なインフラなのです。

    事業の経緯

    平成25年、長年別メーカーの組立式スチールコンテナを使っていた士幌農協から、物流課題解決のための新コンテナ開発の依頼があったことが転機となりました。農協では年間2,000万円にのぼる修理費、組み立てにかかる人件費の高さが課題となっており、改善の相談を受けたセイカンは“軽量化と省力化を両立した新しい鉄コンテナ”の可能性を探り始めます。26年には本格開発に着手。アルミ素材の検討や構造変更を繰り返しながら、農協のニーズに応える試作を重ねました。従来のものと構造を変更し、内容積を増加させたことで15%多く輸送することができるようになりました。
    また、従来のコンテナは、組立解体作業に3人の人員が必要であり、組立、解体に多くの時間を要していたのに対し、メッシュコンテナは、折り畳み式で、1人の人員で作業することができ、従来の約3分の1の時間で組立、折り畳みが可能に。素材が薄く、コンパクトに折り畳めることで、コンテナ返送時の車両積載数は、従来の約1.5倍となり、これにより、使用するトラックの台数削減にもつながるという、輸送革命を起こしました。
    他社も含めたコンペ形式だったため、競合であるプラスチックメーカーや他社鉄コンテナメーカーもサンプルを制作してきましたが、要件をクリアできたのはセイカンのみ。結果的にセイカンのコンテナが採用され、翌年の納品後も不具合を徹底調査し全数回収・再検証を行うなど、品質を担保するための歩みは止まりません。その改良の積み重ねが評価され、現在では、大手ポテトチップスメーカーやポテトサラダメーカー、コロッケメーカーなど多くの加工馬鈴薯の輸送現場で“定番”として採用されています。

    開発したメッシュコンテナ『M-1NL2』(左)と従来の組立式スチールコンテナ『S-1』(右)

    セイカンらしさ

    このプロジェクトには、セイカン独自の「現場に入り込み、課題が解けるまで離れない」姿勢が色濃く表れています。輸送試験で問題が出れば原因がわかるまで粘り、農協・メーカー・加工工場の間を絶えず行き来し、使用実態に即した改善を続けました。競合他社が同条件で形にできなかった仕様を、セイカンだけが実現できた背景には、素材研究・設計・加工技術をすべて自社で抱え、農業現場の変化へ素早く対応できる体制だからこそ。また、“不具合を隠さず全数回収する”という姿勢も、セイカンが長年信頼を得てきた理由です。

    現在とのつながり

    新開発したメッシュコンテナは、農協だけでなく、その後青果会社、チップスメーカーなどとの取引深耕につながっています。
    また、馬鈴薯だけでなく、玉ねぎ用など、ほかの農産品にも展開できるようになりました。
    セイカンが鉄コンテナメーカーとして、単に新商品を開発した、という事実だけでなく、開発した商品が流通革命にもつながったことで、「農業現場の課題解決企業」として、社内外に大きく印象付けたできごととなりました。

    このエピソードのDNA

    • 困りごとに真正面から向き合い、他社が難航したテーマでも試作・検証を繰り返して突破する
    • 現場が求める性能をつかむまで観察し、納品後の課題も逃さず改善し続ける